論文とは何か?-『論文の教室―レポートから卒論まで―』まとめ
「論文」なんておカタいことばがついているのにかなり楽しく読めました。「論文」を書く意味なんて考えたこともありませんでした。(苦笑)
卒論を書く学部生、修論を書く院生とも一度読むべき論文のHow to本です。
○ 論文とはどんな文章か。
論文って何でしょう(卒論を書き終えたぼくが言うのもかなり変ですが)。
読書感想文や手紙、小説と、具体的にどこがちがうのか。
(1)論文には問いがある。
「なぜ・・・なのか」「われわれは・・・すべきか」「・・・と・・・の違いは何か」といった明確な問いをたて、それを解決することを目指す文章である。
ex) 動物を用いた実験を認めるべきか。
(2)論文には主張がある。
問いがあるところには答えがある。論文を書くために必要なのは、自分の主張を自分の責任で引き受ける勇気、つまり「何事かを言い切る勇気」である。
ex) 動物実験には反対である。
(3)論文には論証がある。
論文には、自分の答えを読み手に納得させるための論証が必要である。論証とは、「自分の答えを論理的に支持する証拠を効果的に配列したもの」だ。
ex) 動物実験は数多く行われているが、その多くは不必要な実験である。
そして論拠にもまた論拠が必要。
ex) 今動物実験は○○という頻度で××のために行われているが、□□といった事実があり...
○ 論文を書くときに絶対に忘れてほしくないこと
・ 「曖昧さ」と「はぐらかし」は厳禁
問いも答えも出来るかぎり明確に。
・ 「問い+答え+論拠」以外のことを書いてはいけない
事情や言い訳、感想やエピソードはいらない。
・ 結論の正しさにこだわるな。重要なのは論証の説得力だ
論文の評価のほとんどは、論証が正しくなされているかによって決まる。
・ 論証は第三者にチェック可能なものでなければならない
筆者の考えた道筋を読み手が自分でたどってチェックできなくてはならない。つまり、どのような素材(調査、統計、テキスト、先行論文)を遣ったのかを明示し、どこで手に入るのかなどを第三者がいつでもチェックできるようにする必要がある。引用の仕方や参考文献の挙げ方など、うるさいしきたりがあるのはこのためなのである。
この基本を忠実にまもりながら、常に意識して論文を書きたいです。
その他、アウトラインの作り方(論文作成の上でアウトライン作りは必須事項)、論証の仕方、パラグラフ・ライティングの仕方などが、とてもわかりやすく、楽しめるように書かれています。

このお話は論文だけに限らず、人に自分の主張を伝えるためのものには共通するのではないでしょうか。論文にかぎらず、ブログの記事等にもこの発想を取り入れて、多くの人に自分の考えを伝えられたら高め合うことが出来、さらなる研究の発展につながるのではないでしょうか。
返信削除Y教授もおっしゃっていたことなのですが、論文とは面白いものでなくてはならないそうです。そのためには、吉本新喜劇のコテコテの下りが面白いように、テンプレートがあると受け手は楽しみやすくなるものだと思います。そのテンプレートの大原則がまとめられている記事だと思います。
理系の方の論文を数回のぞかせてもらったことがあるのですが、彼らの論文では、思考の過程が道筋に沿って、はっきりと記されていることが多いです。文系の論文は小難しいことをただ羅列して並べてあるだけという印象があります。わからない人に伝えるという発想が少し抜けているのかもしれませんね。論文の中でも、きちんと思考の過程をプレゼンすることが出来れば、非常に読みやすく、「いい論文」と評価されそうです。
最近ツイッターで読んだのですが、「日本人の論文の特徴は名のあるジャーナルに載ることが目標である場合が多い」らしいです。より高度な内容を興味の方に誤解無く読んでもらえる論文を心がけたいですね。
『論文の教室』は論文を書く基本になるだけでなく、論理的思考能力が低い私にとって重要なことを教えてくれる本でした。Kikkawaさんががおっしゃるとおり、このブログ執筆の際にも、本から学んだ発想はぜひ取り入れなければならないと思います。しかし先日さっそく、後輩から「難しくてあまりわかりませんでした」と言われてしまったので、反省してその分野の知識がない方にももっとわかりやすい記事を心がけていきたいと思います。
返信削除読み易さを追求する上で、その内容ももちろん気をつける点ですが、書き方に関して「パラグラフ・ライティング」に興味をもちました(『論文の教室』第3章でおおきく取り扱われています)。教育実習でもよく聞こえた単語ですが、最近になってようやくその重要性と便利さに気づきました。近いうちにパラグラフ・ライティングについての記事を書きたいと思います。いい本があればまたぜひ教えてください。